ニウエ ハニー

ニウエについて

ニウエは太平洋の真ん中に浮かぶ小さな島国で「ポリネシアの岩」という愛称で親しまれています。世界のミツバチを救う解は、ニウエにあるかもしれません。 ニウエは比較的孤立した環境にあるため、ミツバチにとって文字通りパラダイスです。ニウエのセイヨウミツバチ(イタリア亜種 Apis mellifera ligustica)は病気や寄生虫と無縁です。世界で受粉の要となっているこのミツバチが今も安全に隔離されているのは、地球上ではここが最後と考えられています。ニウエのミツバチは病気が蔓延するずっと前、1960年代にニュージーランドから導入されました。このミツバチにも、危機は訪れました。

 

 

ところが2004年のサイクロン「ヘタ」で時速300キロの強風が吹き荒れ、かろうじて残った植物には巨大な波が塩水を浴びせて、島全体を枯らしてしまいました。アンディも巣箱の3分の2と家を失いました。そんな苦境の中でも、ミツバチを守ることが最優先でした。木がないことはミツバチの餌がないということを意味します。数はどんどん減ってゆき、生き残った巣箱にいたのは女王蜂1匹とミツバチ20匹程度でした。島の植物が回復するまでの間、アンディは特殊な砂糖水を作ってミツバチに栄養を与え続けました。そして徐々に数を増やし、15年後には巣箱に約3,000匹のミツバチがいる状態にすることができました。このミツバチが後にどれほど重要な意味を持つことになるのか、その頃はまだ誰も知りませんでした。特別なミツバチであることは明らかでしたが、健康で清潔なセイヨウミツバチとして、世界で最後の存在になるとは思いも寄らなかったのです。私たちは皆さんの協力を得て、このミツバチを守っています。

パシフィック・ビー・サンクチュアリー

​ニウエのミツバチはこれまで、自然や地理的な条件により事実上の隔離状態にありましたが、私たちはニウエ政府、世界貿易機関、規格および通商開発機構(STDF)の協力のもと、ミツバチの公式保護区の開発に取り組んでいます。具体的には、厳格なバイオセキュリティ対策でこの特別なミツバチを保護するため、港湾や国境の管理を強化しています。ノルウェーの世界種子貯蔵庫のように、パシフィック・ビー・サンクチュアリーは受粉媒介者に関する世界的な保険となっているのです。私たちは、汚染と無縁の健康な女王蜂と蜂繁殖の遺伝的材料を繁殖・輸出し、世界中で減少しているコロニーの復活に役立てつつ、CCD対策に尽力しています。私たちはまた、ニウエで健康なミツバチの資源をさらに増やし、バックアップとして適切な他の島々にもこの有益なミツバチを導入することを計画しています。

 

ピーター・ゴードン – NZの有名シェフ

ピーター・ゴードンはニュージーランドの食文化に多大な影響を与えた人物です。「フュージョン料理のゴッドファーザー」とも呼ばれる彼は、8冊の料理本を執筆し、イギリスとニュージーランドに数々の受賞レストランを創設しています。彼は40年にわたるキャリアを通じて世界中を旅し、食材や技術を集めてきました。ニウエを訪れた際にはこのユニークなハチミツを見出し、以来、様々なお料理に使ってきました。なお、彼の関心は美味しさだけにとどまらず、ニウエ・ハニー社とパートナーシップを組んで、ニウエのパシフィック・ビー・サンクチュアリーの特別なミツバチを保護する取り組みに参加しています。

 

ミツバチの窮状

今、世界中のミツバチが驚くべき速さで死んでいることをご存知でしょうか。病気、農薬、ミツバチの大敵であるミツバチヘギイタダニやその他の寄生虫など、原因は様々ながら、コロニー崩壊症候群(CCD)と総称される問題によって、実に年間最大50%が姿を消しています。養蜂家や蜂蜜産業が壊滅的な打撃を受けることは想像に難くありませんが、実はそれ以上に大きな問題が懸念されています。それは、世界の食糧不足です。ミツバチによる受粉は、私たちが口にする食品の約3分の1に関与しています。果物、野菜、ナッツ類、スパイスなど、ミツバチが花粉を運んでくれるからこそ、私たちが食べることができるのです。リンゴやブルーベリー、アーモンド、そしてズッキーニもそうです。もしもミツバチがいなくなったら、食卓はずいぶんと乏しいものになってしまうでしょう。ですが、私たちはそうならないようにできることを始めています。

手を差し伸べたハニーマン

​​地元で「ハニーマン」と呼ばれるアンディ・コーリーは、太平洋地域を代表する養蜂家として広く知られる、女王蜂育種のスペシャリストです。彼は父のもとで養蜂をしていましたが、その父親はかつて、エベレスト初登頂を達成したサー・エドモンド・ヒラリーから養蜂を教わりました。アンディがニウエに来たきっかけは、切手大の広告で、長い間放置されていた巣箱の養蜂家が募集されているのが目にとまったことでした。アンディが初めて島に足を踏み入れた1999年、作業場の建物はつる植物に覆われてジャングルにのまれそうになっており、見るからにひと仕事という状態でした。片付けの次のステップは、ミツバチがまだ使っている巣箱を見つけることでした。彼は地元の人々の協力を得て、ジャングルのあちこちに点在している1960年代の巣箱を240個探し当てました。外見からはあまり期待できそうにありませんでしたが、巣がはみ出して崩れそうになっている巣箱を開けてみると、意外な発見がありました。ミツバチの質が非常に優れていたのです。専門家が手入れをすれば順調に増やせる、と直感が告げていました。アンディは5年の歳月をかけてミツバチを育てました。巣箱の数は1600個に増え、有機認証の取得も視野に入るなど、事態は好転していきました。

 

助けるのはミツバチだけではありません

ニウエ・ハニー社は、ニウエをはじめとする島々に幅広い利益をもたらします。太平洋諸島のコミュニティに生計を立てる機会を提供し、農業の生産性を向上させることもそのひとつです。当社は、巣箱のレンタル契約によって地元の土地所有者に収入を提供するとともに、プロモーション活動によって島の内外で重要な経済活動を生み出しています。また、自生する潅木の再生にも寄与することで、地球温暖化や土壌劣化の影響軽減を目指しています。

ニウエ政府と共同で太平洋のミツバチ保護区「パシフィック・ビー・サンクチュアリー」を設立したニウエ・ハニー社には、養蜂の恩恵を他の太平洋諸島の国々にも拡大できる可能性があります。加えて、当社はニウエの住民ひとりひとりに無料でハチミツを配布しています。